岸本知弘

2022.02.21

第104号「スティグマとアドボカシー運動」

2022年2月21日
歯科に対する想いはデカく、態度もデカいが見た目もデカくなりつつある、そんな岸本知弘が身の引き締まる思いで綴る徒然でございます。
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全国的に糖尿病重症化予防に対しての施策が進展しております。
糖尿病は生活習慣病とも呼ばれていますが、先天性疾患としての糖尿病の人もおられます。

「糖尿病の人は献血が出来ない」と話す人もおりますが、それは正しくありません。
正確には、糖尿病の方でもインシュリンや薬物投与を受けておらず、食事療法のみ行っておられ、合併症(網膜症、腎症、神経症)がなければ、献血にご協力いただけます。
正しくない情報などから生まれる差別や偏見をスティグマといいます。
そして、そのスティグマに対して日本糖尿病学会と日本糖尿病協会が、糖尿病の正しい理解を促進する活動を通じて、糖尿病をもつ人が安心して社会生活を送り、人生100年時代の日本でいきいきと過ごすことができる社会形成を目指す活動(アドボカシー活動)を展開しています。
私もその活動に共感し、微力ながら協力させていただいております。
待合室に配架中の「月間 糖尿病ライフ さかえ」もご一読頂けますよう宜しくお願い致します。

糖尿病について何も知らない人たちからの誤解や偏見のために、就学や就職、結婚、マイホームの夢を絶たれる人がいます。
病気のことが言えずに、無理をしながら生活している人がいます。
糖尿病治療に前向きになれない人がいます。
近年、糖尿病は治療が飛躍的に向上し、ふつうの人と変わらない一生を送ることができる病気なのに・・・。
「私は糖尿病と無関係だから、知らなくてもいいんじゃない?」
いいえ。今、あなたの、そして社会からの正しい理解を必要としています。
(日本糖尿病協会、日本糖尿病学会)

スティグマ(Stigma);差別や偏見と訳されます。スティグマという言葉は元来、鋭利な器具で刺されたあと皮膚に残る、消せない傷痕を示す言葉でした。それは、時に浮浪者や奴隷を見分けるものとして機能していました。そこから転じ、何らかの形で道徳的に劣っているがゆえ、身体へ染みを付けられ、汚された人を指し示すために、比喩的な意味で「スティグマ」という言葉が用いられるようになりました。こうした経緯から、現在、スティグマは「通常の」人々とは区別される、容認しがたい存在、あるいは社会が行う制裁の何らかの対象を特徴づける、属性や痕跡であると定義されます。
スティグマは、大きく 3 つの要素(1知識(無知)、2態度(偏見)、3行動(差別))に分かれ、知識は、正しい知識を持たないことだけでなく、誤った情報や固定観念を持っていることも含まれます。態度(偏見)に関しては、誤った固定観念に同調したり、恐れたり怒ったりなどの否定的反応を示すことが当てはまります。行動(差別)は、偏見に基づいて、実際にグループや社会から除外しようとする行動などが含まれます。

アドボカシー(advocacy);権利擁護と訳されます。弱い立場にある人の生命や権利、利益を擁護して代弁することであり、この働きにより、政策を変え、不公正な社会を変えていきます。

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