岸本知弘

2014.08.08

第14号「夏ゼミ2014 in 東京」

歯科に対する想いはデカく、態度もデカいが見た目もデカくなりつつある、そんな岸本知弘が身の引き締まる思いで綴る徒然。

今回も最後までお付き合いいただきますよう宜しくお願い致します。

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7月26日(土)東京・日本歯科医師会館にて第32回地域歯科保健研究会が開催されました。
毎夏、年に一度開催されているので「夏ゼミ」と称されることもあるこの会は、対象者を地域歯科保健医療に携わる者としています。
主な参加者は歯科行政職の歯科医師、歯科衛生士ですが、大学に籍を置く研究者、歯科大学教員、歯科医師会関係者と幅が広いのが特徴です。
今回のテーマは「地域包括ケア時代のコミュニケーション力」でした。
日本歯科医師会長 大久保満男先生の講演もありました。
演題は「歯科医師会の立場から、歯科保健行政担当者に求めること」
この詳細等は近日発刊の京歯月報をご参照いただくとして、ここでは「書き切れなかった内容」について触れたいと思います。
まず、私が「夏ゼミ」に参加するようになった経緯を述べます。
そもそも私は、歯科診療は歯科医療の一部であり、歯科医療は医療全般の一部であり、医療は健康の一部である、という信念を強く持っております。
そして「人生を如何に健康に過ごすか」が生きる命題であると考えます。
特に虫歯や歯周病に代表される歯科疾患の多くは先天的に持って産まれてくることはありません。
言い換えれば、歯科専門職がキチンと啓発活動を行えば未然に防げる疾患なのです。
ここにこそ歯科医師本来の仕事があると考え、私は自身の診療所でも健康維持増進への啓発を行っております。
しかし、疾病治療を行いながらの啓発は案外伝わりにくく、また「啓発活動の本丸は行政にある」ことから、年に一度は本丸に乗り込んで空気感を肌で感じ、これまでの1年で感じたことがブレてないかを確認する場、これからの1年で確かめたいことを収穫する場としております。
先述の通り、「夏ゼミ」は行政職の歯科専門職が殆どですので、私はアウェイ感満開なのですが、私の持ち味である「ここぞと思ったらまずは仲良くなる」精神で潜り込み、お陰様で顔見知りの先生も出来ました。
個別にいただけるアドバイスは明日からの診療に随分と役立っております。
行政職の方は実際に歯科診療を行うことはありません。
開業医は眼前の疾患には対処しますが、5年後10年後の地域の施策について考え巡らせることはまず無いでしょう。
私は、開業医として、歯科医師会員として、行政的視点観点を持ちながら仕事に従事したいと考えます。
それこそが「人生を健康に過ごす」ための最短ルートと考えるからです。
例えば、日本には国民皆保険制度という素晴らしい制度があります。
多くの人はこの制度を利用して健康を維持しています。
開業医はこの制度を使って診療を行います。行政はこの制度を作り維持しています。
行政を抜きにして私たちの健康を守ることは難しいでしょうし、歯科医院のない世の中は随分と殺伐とするでしょう。


前置きが長くなりましたが、今回の夏ゼミでは多くのことを学びました。
日本歯科医師会長・大久保満男先生の「思想としての8020」のお話は聴く度に理解が深まるのを感じます。
「食べる」とは単にエネルギーを燃やしてクルマが走るというようなことではなく、自分のカラダを再構築することなのです。
「食」は自らの「生」のためだけではなく大切な人への想いでもあります。
「食」は今ここにある「生」を支えるのです。

厚生労働省医政局課長・鳥山佳則先生は
「プロとして仕事するからには個々がパイオニアとして自覚を持たねばならない。ヒトに頼んだりしているようではダメだ!」
とお話になりました。

滋賀県甲賀保健所長・井下英二先生は
「これからは在宅での看取りが求められる。病院での死は循環器系疾患や心筋梗塞など残念な死が多い。在宅ではハッピーな死であって欲しい。歯科はここに大きく関与できる!」
とし、
「いっぱい生きよう、そして最期を考えよう」
と提唱されています。

新宿区健康部参事・矢崎正人先生は
「前任からの引き継ぎはとても大切なこと。色々と認 めてもらうには前任のイメージをちゃんと引き継ぐこと!」
と自身の体験を踏まえてお話になりました。
任期毎にメンバーが替わる歯科医師会のような組織では正にこのことが求められます。
自分のやりたいことはまずは二の次。
まずは前任からの系統をスムーズに行ってこそ!です。

兵庫県香美町兎塚歯科診療所長・中田和明先生は
「天然の8020達成者(何のケアも介入もされてないヒト)は5%くらい。我々は養殖の8020を増やそうとしている。今や80歳は人生の終わりではなく新しい出発点!80歳から始まる余生!」とお話しくださり、生活の原点は田舎にあると再確認致しました。

また夏ゼミはグループワークを行うのも特徴の一つで、今回は「地域でコミュニケーショ ン力を活かして他(多)職種連携を展開するために自分たちに何ができるか?」を討議した結果、教育現場や医療現場など変わらねばならないところは多くあるが、まずは気付いた私たちがキーパーソンとなって連携作りの基礎を築く。
できるヒトができることから始めないと何も変わらない!という結論に大筋至りました。
今回参加したことによって、私も気付いた人の一人、であるはずです。
夏ゼミで得られた経験、感覚を元に、京都の地から更に「出来る処で出来るコトから」進めて参ります。
残暑厳しい折、みなさまお体ご自愛くださいませ。

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