2025年10月17日(金)
歯科に対する想いはデカく、態度もデカいが見た目もデカくなりつつある、そんな岸本知弘が身の引き締まる思いで綴る徒然。今回も最後までお付き合い頂きますよう宜しくお願い致します。
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2025年大阪・関西万博が閉幕しました。
メディアでは連日、一部パビリオンの「予約戦争」や「待ち時間」が話題になりましたが、万博の本当の魅力は、その競争の外側、会場全体に広がっていた、と強く感じています。
私自身、3度にわたって会場に足を運びましたが、毎度直前に決定して行っていたので、いわゆる人気パビリオンの予約は一度も取れませんでした。
しかし、そのおかげで、万博のもう一つの主役である「大屋根リング」と「コモンズ」の奥深い魅力を心ゆくまで堪能することができました。
「リング」と「時」のデザイン
万博のシンボルである大屋根リングは、単なる巨大な建造物ではありませんでした。
明るい日差しの中で未来への希望を象徴し、夕焼けに染まる時間には、どこか郷愁を誘う美しさを見せ、そして夜には星空とドローンショーの光が交差する、壮大な劇場へと変貌しました。
私がそこで見つめたのは、固定された未来像ではなく、絶えず移り変わる「時」そのものでした。
行列を離れ、ただリングの下で空を見上げ、集う人々のエネルギーを感じること。
この「場」と「時間」を味わい尽くす体験こそが、「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマの、最もシンプルで普遍的な表現だったのではないでしょうか。
コモンズに詰まった「多様な未来」
また、個性豊かな国々が出展した「コモンズ」を全て巡った体験は、本当に面白かったです!
予約に縛られることなく、ふらっと立ち寄ることで、アフリカや中南米など、普段なかなか触れる機会のない国々の文化や知恵に出会えます。
未来社会は、一方向の技術革新だけで生まれるのではありません。
私たち医療の現場も同じで、多様な視点と、対話の共有地(コモンズ)が必要です。
各国が持ち寄った、身の丈にあった工夫や文化。
これこそが、私たちが目指すべき「持続可能な未来」のヒントであり、万博が残した最も大切なレガシー(遺産)だと感じています。
万博の最も大切なレガシーは、人の心の回復力
私たち医療関係者にとって、万博のテーマである「いのち」を考えるとき、会場に集った人々の笑顔や活気こそが、何より重要でした。
パンデミックを経て、人々が物理的に集まり、同じ「場」を共有し、喜びや驚きを分かち合うことの力。
行列に並んで疲れた顔も、リングの下で夜空を見上げる横顔も、すべてが未来を創るエネルギーでした。
この万博は、私たち自身の心の回復力と、つながりあうことの価値を再認識させてくれました。
結論として、この万博は、豪華な「箱」の中身を競う時代から、「人々が集い、対話し、共有する」という新しい体験のデザインへ、万博の価値観をアップデートしてくれたのです。
行列に並ばなくても、会場全体を味わい尽くせた私は、最も贅沢で、そして最も本質的な万博を体験したと言える、かも知れません。