岸本知弘

2022.09.27

第111号「早くなりすぎた世界」

2022年9月27日
歯科に対する想いはデカく、態度もデカいが見た目もデカくなりつつある、そんな岸本知弘が身の引き締まる思いで綴る徒然でございます。
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これは人間だけに言える話ではないと思いますが、動物は種によって各々の時間軸を持ち合わせていると思います。
以前、「ゾウの時間 ネズミの時間」という本が話題になりました。
ゾウもネズミも心臓は15億回脈打って止まるそうで、それはヒトも同様らしいです。
ヒトの心周期(心臓がドクンと1回脈打つ時間)は約Ⅰ秒、ハツカネズミは0.1秒弱(Ⅰ秒間に600~700回)、ネコで0.3秒、ウマで2秒、ゾウだと3秒かかるそうです。
そして、時間が体重の4分の1乗に比例することがわかったので、体のサイズの大きい動物ほど、心周期も呼吸も筋肉の動きなんかもゆっくりになっていくことが分かっています。例えば、30gのハツカネズミと3tのゾウでは体重が10万倍違いますから、時間は18倍違い、ゾウはネズミに比べ時間が18倍ゆっくりだということになります。映像を18倍ゆっくりスローモーションで再生すると画像はほとんど動かないように感じます。逆に18倍の速度で早送りしますと、目にも止まらない動きになります。前者がネズミから見たゾウ、後者がゾウから見たネズミ、という訳です。
ネズミにはゾウが止まって見え、ゾウにはネズミが見えていない、のかも知れません。

まぁ、そんなこんなでヒトがヒトの都合の良いように定めたのが1分1秒などの時間の単位、長さですが、この時間に対しても相性みたいなもの(融通性?有効範囲?許容範囲?)があるのではないかと考えます。
1時間で歩ける距離、それが例えば4キロだとすると、人間の基本的な時間軸は時速4キロ程度。
新幹線が時速280キロだとすると、移動に関しては約70倍のスピードを得た計算になります。
ジェット旅客機は時速900キロ程度だそうです。この速度になると移動距離に応じて時差が生じ体調に影響が及ぶひと多数!(地球の自転速度は時速1700キロ)
馬の場合、何日も移動し続けられる速度は常歩(なみあし)程度(時速5~6キロ、1日50~60キロの移動が可能)、速歩(はやあし)になると時速13~15キロ、1日およそ30~45キロ移動可能ですが、速歩を継続できるのは1時間程度です。駈歩(かけあし)や襲歩(しゅうほ)だと時速20~70キロでますが、持続時間が短いため、その速度で移動することは現実では有り得ません。
豪華客船などは20ノット程度で巡行しているそうなので時速換算にすると35キロ程度です。
移動距離にも因ると思いますが、自動車程度の速度では体調に変化を来すほどの影響はないでしょう。それがジェット旅客機ほどの速度になると(気圧変化などの要因を除いても)体調に悪影響を及ぼします。
ちなみにプロペラ機は時速500キロ程度だそうです。体調への影響はどうなのでしょうね?

人類は科学という名の下に探究心を持って未知なる領域に挑んでいます。
早さに対する探究心もそのひとつですが、この領域は既に超えてはならない領域に突入しているのではないでしょうか。早く移動できてしまう弊害もあるのでは、と感じます。
移動時間を無駄と考える人にとっては移動時間は短いに越したことがありません。
駄菓子菓子!
移動時間も考えようによっては十二分に有意義に過ごすことが出来るはずです。体長のリズムを超えてまで速い速度の中に身を置かねばならない、のでしょうか。
時間に追われるような忙しさの世の中は如何なものかと思う今日この頃です。

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