岸本知弘

第110号「ヨボウを考える」

2022年8月6日
歯科に対する想いはデカく、態度もデカいが見た目もデカくなりつつある、そんな岸本知弘が身の引き締まる思いで綴る徒然でございます。
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齢四十余年になる私の知人に、歯科口腔保健の領域から本気で国民の健康を願い、本気で手技を実践している歯科医師がいます。
彼のご発言は折に触れ角が立ってる場合もありますが、そういう真摯な内容はヘンに忖度して発言すれば妙竹林な誤解や湾曲した解釈が生まれてしまいますので、ハッキリ!キッパリ!言い切ることもまた大切なんだ、と学んでおります。

昨今は至る所で「予防予防!」と言うておりますが、団体や組織が絡むと「(患者を)呼ぼう!呼ぼう!」という風に聞こえてしまう節もあります。
「本気で予防する気があるか?」と問われれば
「ある!」と答える歯科開業医が殆どでしょう。
駄菓子菓子!
「歯を削ったり抜いたりを一切せずに済んでいるか?」と問われれば
「それは無理だし、非現実的だ」と答える歯科開業医が殆どと推察します。
歯科は削って詰めてナンボの世界、と、本気で思ってる歯科医師もまだまだ少なくありません。
(*もちろん削って詰める技術を高める努力は今も昔もこれからも重要であるのは自明の理)

「医業が医療に勝ってはダメなんだよ」
学生時代は真意がよく分かりませんでしたが、今になればよく分かります。
削らんで良い歯は削ったらあきません。勿論です。その通りです。
削らなアカン歯かどうかは、目の前の歯科医師が判断します。歯科医師の裁量に委ねられてます。

ホントの予防って何でしょう?

予防診療の対象となる方は疾病を有していないので正確には「患者」ではない、はずです。
日本は国民皆保険制度が充実しすぎているが故に予防の意識が育ちにくい土壌になっています。
仮に、医院収入としては同じ1万円であったとしても、支払う側は受益者心理として
「予防は自費で1万円?治療は3割負担で3千円?ほな悪なってから治療で良いわ」
と、安直で表面的な価格比較で(予防ではなく)治療を選んでしまっている日本国民は少なからず相当数いると感じています。
この「安直で表面的な」というところが非常にミソでして、むし歯であいた穴はどれだけ高性能な修復物で修復したとしても、それは所詮「人工物で修理」したに過ぎません。歯周病で失った歯をインプラントで修復しても、それも所詮「人工物で修理」したに過ぎません。唯一無二の自身の組織を失い、二度と元に戻らないのが歯科疾患の恐ろしいところです。
コロナ禍で口腔領域を清潔に保つことが如何に大切かを、世界中の人たちが経験し学びました。
私は疾病予防を真摯に啓発し続けており、口腔健康管理を真摯に啓発し続けています。
でもまぁ、響くヒトには響きますが、響かないヒトには全く響かないようです。
でもまぁ、それで構いません。(悲観的に言っている訳ではないです、念のため)
そのヒトの人生は そのヒトのものなのですから。
私ができるのは、そのヒトに寄り添い、口腔が関わる健康に対して関わり続けることだけです。

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