岸本知弘

2022.05.30

第107号「この子らを世の光に」

2022年5月30日
歯科に対する想いはデカく、態度もデカいが見た目もデカくなりつつある、そんな岸本知弘が身の引き締まる思いで綴る徒然でございます。
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4月23日(土)に現地と共にWebでも開催された、医ケア児支援に関する講演会に参加しました。
『地域における医療的ケア児と家族支援』
私も関わる「こどもみらい園」園長の岡本和徳氏からの勧めでもあった訳です。
結果的に、かなり胸熱な講演会でした (笑) いやぁガンバらなあきませんね、みんな。

京都府からは担当課長より京都府の医ケア児に対する取り組みと4月25日から開設する医ケア児支援センターについての説明が成されました。察するに彼もかなり熱い想いを持ってこの分野に取り組んでおられる、のかな。「行政マンなので口下手」と仰ってましたが、節々に医ケア児や障がいに対する想いを感じ取ることが出来ました。なんぼ「地域で支える」といったところで、その仕組みが整っていなければ素人はなかなか手を出しにくいのもまた事実ですので、制度が整っていくのは大変良いことと感じます。
京都府における医療的ケアを必要とする在宅療養児数は令和3年度末現在で273人(京都府下126人、京都市内147人)ですが、これは京都府及び京都市が把握している人数であり、実態はもう少し多いのではないか,と想像されています。

はるたか会理事長で小児科医でもある前田浩利先生のお話は現場感ハンパなく、決して口先だけでは無い現場から生まれた諸々が礎として存在するため、優しく軽妙な語り口の中にも揺るがない太く重い芯が存在していると痛感致しました。
「制度がなければ作れば良い」と、言うは易しですが、実際にそれを行うは難しです。
前田先生はご講演の最後に「この子らを世の光に」というお話をされました。

「この子らに世の光を、ではないのです。「を」と「に」が逆になれば、この子どもたちは哀れみを求めるかわいそうな子どもになってしまいます。しかし、この子らは、みずみずしい生命にあふれ、むしろ回りの私たちに、そして世の人々に、自分の生命のみずみずしさを気づかせてくれるすばらしい人格そのものであります。この子らこそ「世の光」であり、「世の光」たらしめるべく、私たちは努力しなければなりません。」
「この子らを世の光に」そう壇上で訴え続け、1968年の講演会の席上で倒れ亡くなられた糸賀一雄氏(知的障害者福祉の父と称えられる)の言葉を、前田先生はとても大切にされています。前田先生の慈愛に満ちたお話はこの辺りに根源があるのかな、と推察致しました。

医療は色んな側面を持っており、「生きる・死ぬ」の手前?次?にあるのは「充実した人生」だと私は考えます。そんな中で歯科が関わることができる領域は日々広がっているように感じます。

「まずは寄り添うこと」と、私が歯科業界に入ったときにイケてる先輩から教えていただきました。この意味するところを最初はよく分かりませんでしたが、最近は少しずつ見えてきた、気がします。大人も子どもも、皆限られた人生の中で、人によってはその終わりが見え隠れする中で、精一杯生きようとする、そういう中で私が関われる歯科領域はホントにちっぽけなものかも知れませんが、関わってもらって良かったと思ってもらえるように関わることができるよう、これからも寄り添い続けたいと気持ちを新たに致しました。

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